Electromagnetics and Ham Radio
Balun22
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■1:4 Case7の特性インピーダンス■
ここで使った通信線は工業製品ですのでどの断面でもGAPおよび絶縁被膜の厚さが一定していると考えて、 インダクタンス、キャパシタンス、そして特性インピーダンスを調査してみます。 測定機器としてDE-5000とAA-600を使いました。周波数はDE-5000が100KHz、AA-600が1MHzから5MHzとしました。 通信線の長さは、4200mmです。導線の直径が0.8mm、GAP=1mmでしたのでD/a=4.5です。 測定結果は以下のようになっています。

DE-5000@100KHzより

Cs [pF] Cs [F/m] Ls[μH] Ls[H/m] Z0 [Ω]
188.1 4.47857×10-11 2.972 7.07619×10-07 125.7

AA-600では、通信線の開閉により、√(Xopen×Xclose)を計算すると、 下表に示すように1MHzから5MHzの間でZ0=120~122Ωが得られました。 Xopenは容量性ですので値は負です。

周波数 [MHz] Xs(close) [Ω] -Xs(open) [Ω] Z0 [Ω]
1.0004 17.38 831.92 120.2
3.0002 54.09 269.95 120.8
5 102.43 145.8 122.2

一方関数f3でこの通信線のインダクタンス(μr=1)とキャパシタンス(εr=1)を計算すると、以下になります。 そして測定値と比較すると、測定のインダクタンスはその関数f3による値の1.2倍でしたが、キャパシタンスは同じ比較で2.3倍もありました。

D/a 関数f3(D/a)の値 C=ε0/f3 [F/m] L[H/m] C(測定)/C(f3) L(測定)/L(f3) Z0r=1,εr=1) [Ω]
4.5 0.461732208 1.92×10-11 5.80×10-07 2.3 1.2 174

上の結果からも、バランの特性インピーダンスは、導線の絶縁被膜の誘電率に大きく左右されているのが分かります。

■絶縁被膜の誘電率■
以下の表に今回バランに用いた製品、材料、および比誘電率をまとめておきました。 下表にある材料と比誘電率の値はネットの検索で得たものです。 したがって値はもう少し幅があると考えてよいでしょう。

製品 材料 比誘電率 εr
熱収縮チューブ エチレンプロピレンゴム 2.0~3.5
熱収縮チューブ シリコン 3.2
熱収縮チューブ シリコンゴム 3.2
テフロン電線 テフロン 2
通信線 ポリエチレン 2.0~2.4
エナメル線 ポリイミド 3~4.3


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