■各測定器の比較■
次に各測定器で得られた関数値fiを紹介します。導線としては、9.5mmのパイプでスペーシングは 1.02mmとしました。AA-600では周波数範囲1-50MHz(表示は40MHzまで)で、 Q Meterは25.2MHzでLを、RX meterは28.4MHzで Lそして21.2MHzでCの測定をしました。DE-5000は0.1MHzで測定しています。
RX meterではCPの測定範囲が-100pF~20pFですので、このままの状態ではペアー導線のCPの測定はできません。
前にも述べましたが負のCPはインダクタンスを、そして正のCPは、キャパシタンスを意味します。
DE-5000での実験によるとCP=80pF前後でしたので、
計測値を計測範囲の20pF以内にするために22pFのキャパシターを
ペアー導線へ直列に接続すると安易な方法が考えられますが、これでは精度は保証されません。
RX meterのマニュアルにはコイルを並列に接続してキャパシタンスCPを測定する方法が紹介されています。
マニュアルによると、まずコイルを準備します。このコイルのインダクタンスはLP=1/(ω2CP)で計算します。
(注釈:XP=1/(ωCP)でした。またXP=ωLPでもあります。この2式から上式が得られます。
つまり、上はブリッジのLC共振の式ということです。)
そのコイルのみをバインディングポストに取り付けブリッジ平衡で得た値をCP1とします。
このときCP1の値を出来るだけ-100pF近くになるようなコイルを選びます。
このCP1の位置が新しい基準点になります。
そしてキャパシターをコイルと一緒にバインディングポストに取り付けブリッジ平衡での読みをCP2とします。
するとキャパシターのキャパシタンスCPは、CP1からCP2までの容量差になります。
実験では、f=21.216MHz、L=0.778μHを使いました。コイル単体でCP1=-74.9pFでした。ペアー導線(9.5mm Pipe)をコイルと
並列に接続しブリッジの平衡をとると、CP2=+9.2pFでした。
下図はキャパシターとコイルを並列に接続した状態の実験を示します。コイルは自作でインダクタンスはDE-5000で測定しました。
結果的にペアー導線のCPは、CP=84.1pFになります。 この値を使って関数値fiを計算するとfi=0.128097を得ます。 DE-5000とほぼ同値(fi=0.1324)になっています。 以下の2つの図は、AA-600によるLを5MHzで、Cを1MHzでピックアップし、他の測定器での値と比較してみました。 Q MeterでのCの測定が無いのは、付属のマスターコイルを紛失したため測定を断念しました。 値をみると、大きな違いはなさそうですのでDE-5000での測定は想定内の値と言ってよいと思います。