■従来型低減精度積分法の欠点とFree Selection法の優位性■
低減精度積分法といえば、通常市販のソフトで良く見受けるZienkiewiczの提案による積分のサンプリング点数をGauss-Legedre正規より1つ少なくする方法を思い浮かべます。この低減精度積分法(Reduced Integration Method)をせん断応力項に適用し法線応力とλ(発散)の項には正規に積分を適用します。
低減精度積分法を使う目的は、Shear Lockingと言う現象を抑制し計算精度を向上させることでした。せん断応力の項は、クロス微分で構成されているため、線形要素の場合、曲げが抑制されてしまいます。そこで、線形要素の自由度を与えるために、要素の中央点の一点を使って積分します。これにより、要素間は曲がりやすくなり、計算精度も向上します。
しかし、一点で積分しているため、自由度が多くなり振動を発生させる元になってしまっています。例えば、“やじろべえ”を2点支えれば“やじろべえ”の動きは止められますが、一点だと“やじろべえ”独特の振動をします。これと同じ振動が計算された変位、応力、固有周波数に現れてきます。
このサイトでは、低減精度積分法としてFree Selection法を紹介してきました。この方法は、正規Gauss-Legendreのサンプリング点の位置を移動して全ての積分項を計算するテクニックです。ですから、余分な振動も無く計算精度を自由に制御でします。サンプリング点の位置は、要素のアスペクト比によって移動し計算精度を最適化できます。例えば、2点Gauss-Legendre(GL)法をアスペクト比1の要素に適用する場合、ξ=0.57735027と-0.57735027をξ=0.46と-0.46にします。(ちなみにξ=1は台形則、ξ=0は平均法にあたいする。3点法の場合、ξ=-1, 0, +1はSimpson則になります)。台形則で積分を行うと、Shear Lockingが最大になり、とても硬いビームになってしまいます。
ここでは、正規の積分法、Zienkiewiczの提案による積分法、Free Selection法、Free Selection Shear法の4つを使って固有値計算を行ってみます。要素は、8節点1次ヘキサ要素、計算対象はこれまでに使ってきたビームを用います。下表に4つの方法の概略を示しておきます。尚、Free Selection法は要素のアスペクト比の1を想定しています。
積分方法 | せん断応力の項 | 発散(λ)の項 | 法線応力項 |
---|---|---|---|
正規GL積分 | ξ=+/-0.57735027 | ξ=+/-0.57735027 | ξ=+/-0.57735027 |
従来型低減精度 | ξ=0 | ξ=+/-0.57735027 | ξ=+/-0.57735027 |
Free Selection法 | ξ=+/-0.46 | ξ=+/-0.46 | ξ=+/-0.46 |
Free Selection Shear法 | ξ=+/-0.01 | ξ=+/-0.57735027 | ξ=+/-0.57735027 |
要素分割としてビームの長さ方向(座標x)に200, 250, 300, 350, 400に分割しました。座標のyとz方向は、アスペクト比が1になる分割数を決定しました。
まず、正規GL積分で計算したときの固有振動数(Hz)は以下のようになりました。MODEが10と13はミックスモードによる結果です。その他は全て1次元の厳密解に沿った結果になっています。MODEは計算で出力された番号です。計算にはEIGENLANCZOS_SOLID3-BI.FORを用いました。
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