皆様は、弾性解析で固有値というのを聞いたことが有ると思います。構造物がどんな振動周波数に反応するかです。 この周波数を事前に知っておくことは製品を設計する上で大変重要です。 しかし、その計算方法についてはあまり注目せずに計算機が出す値を疑問なしに使ってきました。 ここでは、固有値がどのように計算されるか、その計算方法をちょっと覗いてみることにします。 また、解析アップリケーションソフトのマニュアルによく出てくるランチョス(lanczos)法が 一体全体何であるのかも出来るだけ詳しく説明します。2次元の問題では固有値を計算することは さほど計算に負荷が掛かる事はありませんでした。しかし、3次元になると剛性マトリクスが巨大になり、 計算量が天文学的な数値になってきます。ランチョス(lanczos)法はこのような問題を解決してくれます。
■固有値の計算方法■
マトリクス(行列)が出てくる代数式問題には、大きく分けて連立1次方程式の解法問題と固有値問題があります。
つまり、剛性行列[K]と外力{F}から変位{u}を得ることは、連立1次方程式[K] {u}={F}の解法に関係しています。
固有値問題とは、剛性行列[K]と質量行列[M]を使って計算することを言います。弾性体の固有振動を
再現してくれるNavier-Helmholtz equation の[K]{U}‐ρω2[M]{U}=0は、時間に関係している行列[M]と
距離空間に関係している剛性の[K]とで構成されています。固有値問題では、この式が満足する振動周波数ωを
計算します。理論的に自由度の数(節点数×未知変数の数(u,v,wの場合3)−拘束節点数)だけの固有値が存在します。
また、ここでは議論しませんが最大要素長(L)と最大固有振動数(f)とは関係があります。
音伝播速度をCとするとC=fλですから、2要素で波長λを再現(λ=2L)出来たとすれば、f=C/(2L)になり、
このf以上の周波数は計算されても意味がありません。このfのことを、ナイキスト周波数と呼ばれています。
例えば、C=5300m/s, L=0.1mでは、f=26KHzになります。
話が横道にそれてしまいました。それでは、固有値がどのように計算されるか勉強しましょう。ここでは、
固有値計算過程で有名なLanczos原理を中心にBisection法、Jacobi法、Power法を紹介します。
■固有値の基本■
この手の問題ですが、話はどうしても偏微分方程式から始めなければなりません。
2階の時間微分項を含む支配方程式において、未知数ui(x,y,z,t)を時間と距離空間に変数分離すると、
Helmholtz系の微分方程式が導き出されます。
この式を有限要素法等で離散化すると以下のマトリクス式が出来上がります(後で詳しく説明します)。
[K]{u}=α2[M]{u} |
これに適切な展開を施すと(これも後で詳しく説明します)以下の基本的な代数式を得ることができます。代数学の本では、ここから始まります。
[A]{x}=λ{x} |
上式を満足するλと{x}を解くことが固有値問題です。ここに、[A]=正方行列、λ=固有値、{x}=固有ベクトルと言います。更に、ここでの[A]は対称行列ということにしておきます。未知数の2階微分項と生成項からなるマトリクス式では、対称な[A]が得られます。また、上の式は以下のようにも書けます。
[[A]-λ[I]]{x}={0} |
固有ベクトル{x}は長さが1のゼロでないベクトルですので、結果的に以下が満足していなければなりません。以下のdetを行列式(Determinant)と言います。
det[[A]-λ[I]]=0 |
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