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■BEM vs. FEM■
境界要素法(BEM)は、有限要素法と同様に微分方程式を解く道具として、構造物の設計に活用されています。しかし、微分方程式を離散化するテクニックには、有限要素法のそれと比較すると、かなり違いがあります。下に違いの幾つかを示します。

項目 有限要素法(FEM) 境界要素法(BEM)
重み関数 有限次数式 特異点をもつFundamental solution
部分積分 1回使う 2回使う
積分 領域 境界
最小積分領域 領域型の要素 境界型の要素
要素分割 領域を分割 境界を分割

上の表で最も注目して頂きたいのが、重み関数です。有限要素法では、形状関数を重み関数として使いましたが(Galerkin)、境界要素法では、微分方程式のFundamental solution (or Kernel function) を使います。Fundamental solution とは、r=0 の点以外では微分方程式を満足している関数です。特にLaplace equation の Fundamental solution をGreen's function とも言います。また、r=0 の点を singular point 又はsource point と言います。また、sourceの影響を観察する点を observation point といい、この点は積分される境界にあります。

重み関数が、微分方程式の a solution であるということは、有限要素法の様に微分方程式の各項毎に離散化が行えないことになります。つまり、一括処理になります。このことは、プログラミングにも大きな影響を与えています。

■数学的処理 vs. 数値計算処理■
解析用のソフトを開発するときは、まず微分方程式を離散化が楽に行える段階まで、数学処理を行います。次は、数値計算法で離散化しフローチャート化します。数学処理が少ないと離散化で苦労することになります。その代表が差分法です。また、数学処理が多いと、離散化は楽になりますが、その反面、数学的な拘束が大きくなり、応用範囲が乏しくなります。その代表が境界要素法です。 下に各方法による解析ソフトを完成させるまでに、費やされる数学処理と離散化の時間の割合を示します。

差分法(FDM)において、数学的処理の量は非常に少なく、プログラミングまでの作業のほとんどを数値計算法に頼っています。有限要素法では、数学的処理と数値計算法による作業が、ほどよく混在しています。このことが有限要素法をポピュラーにしている理由の1だと思います。

最後に、境界要素法ですが、数学的処理の拘束が大きく、応用範囲に制限があるのが現状です。今日では、様々な技術分野に応用され始めていますが、有限要素法ほどではありません。しかし、境界要素法には、有限要素法にない様々な素晴しい特徴をもっています。例えば、

    1. 無限領域
    2. ポイント ソース/シンク
    3. 境界のみの要素分割
が上げられます。ここでは、境界要素法の基礎の紹介と、上の特徴を例題で紹介します。有限要素法に比べると、境界要素法の数学的処理はちょっと難しいですが、頑張って勉強して下さい。

■直接法と間接法■
境界要素法には、直接法(Direct method)と間接法(Indirect method) が有ります。ここでは、直接法で話しを進めていきます。直接法と間接法との違いについては、本文の中で説明します。


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